養老孟司「運のつき」
「運のつき」は、2007年に文庫化されているが、内容に古さは感じない。なぜかというと、それよりも古いことや変わらないことを取り扱っているからだ。戦争や全共闘、世間や人生、日本などなど。
養老さんは自身をしつこい性格だと表するが、当人いわく疑問や引っ掛かりを覚えると随分と考えてしまうのだという。本書ではなかったと思うが数十年おんなじことを考えていたとか、ふとした瞬間に繋がったというのは聞いたような気がする。確かに考えているとトイレや風呂、散歩、寝起きのときにふと繋がる。そして腑に落ちることもある。
考えたあとに出てくることは世間の常識と少し違っている。少し違っているから読んでいて面白い。当人、世間との折り合いには随分と苦労したと書いている。苦労したんでしょうなぁ、そこは共感ができる。時折、自分と似ている部分を感じるのは、元がそうなのか影響を受けたのかはわからない。まぁ、久しぶりに本を読み切りました。
それに本書は古本でも100円程度と随分安い。なんとなくだが、養老さんと成田悠輔さんはアウトプットが似ていると感じる。