「NOSTALGIC TRAIN(Windows PC)」プレイ後の感想


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夏の田舎町を歩ける高揚感

「NOSTALGIC TRAIN」は、架空の田舎町「夏霧(なつぎり)」を舞台にしたゲーム。ひとりの製作者が開発したとは思えないほど、雰囲気は良くスタートからワクワクさせられた。

筆者はストーリーモードをプレイしたが、まずはこの無人の田舎町に魅了された。昭和後期に生まれた筆者にとっては、この世界のノスタルジーは想像のものではあるのだけれど、古い日本の田舎を再現したウォーキングシミュレーターに心が踊ってしまったのだ。

欠片を紡ぐために

ストーリーモードは「夏霧」を歩きながらスポットに散りばめれたテキストを読んでいくことで進行する。悲しげな内容が多く、少しさみしい気持ちにさせられた。ほのかに感じていた田舎の雰囲気はテキストを読み進める度に遠ざかり、廃墟のなか、ポツンと残されているような虚しさが湧き上がってきた。

話の断片はあちらこちらにあり、田舎町を歩きながら紡ぎ合わせる。ゲーム進行における操作性はお世辞にも良いとは言えず、ストーリーのテキストは想像よりも多い。文章構成から察するに推敲も少し甘い。

段々、ストーリーを紡ぐことに疲れを感じてしまい、筆者は欠片をふたつ見つけて、みっつ目の都会から来た少年と教師の欠片を紡いでる途中でゲーム進行をやめた。テキストを読み進めても読後感は良くないのではないか?と不安になったこと。町のあらかたを歩き回り満足したことがその理由になる。

歩くことと読むことのバランスの悪さ

「NOSTALGIC TRAIN」は、スクリーンショット映えが良いゲームだが、町を歩いているとやや不自然な点も見受けられる。ただ、その不自然は「現世ではない夏霧」を歩いていると思えば、なんとか納得がいく。

どうしてもバランスを欠いたのはテキストとの融合が上手くいっていないところだろう。本作をウォーキングシミュレーターと思ってしまうとテキストは冗長に感じてしまう。テキストを楽しむなら夏霧を背景に、プレイヤーは進行ボタンを押せば良いノベルゲームでも良かったかもしれない。

または「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」のようなテキスト表現ではあれば、アンバランスさも緩和されるのでは?とも感じた。

しかし、製作者がたったひとりで作ったゲームだ。製作者の意図をうまく感じ取れなかった筆者にも課題が残る。うまくゲームに向き合えなかったことは反省しないといけない。

もし評価するなら?

6.5

良かった部分
  • 圧倒するほどに感じる田舎の雰囲気。
  • ひとりの製作者の作品に対する熱量。
  • BGMや環境音。
気になった部分
  • テキストがうまく融合していない。

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