「Night in the Woods(Windows PC)」プレイ後の感想
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取り立てて欠点は見当たらない
「Night in the Woods」を先日プレイし終わった。思えば随分むかしに買ってはいたものの積んでいたゲームのひとつだ。評判は知っている。ただ、内容はなるべく入れないように注意してプレイをしたように思う。主人公のメイが大学を中退して故郷に帰ってくるシーンから本作は始まる。物語はメイの家族や友人など身近な人たちとの会話を中心に進行し、小さな街であるポッサム・スプリングが舞台となる。
取り立てて本作における欠点はない。かわいらしいビジュアルは物語をうまく中和しているし、BGMもマッチしている。ゲーム内ゲームも「バンド練習」や「デーモンタワー」など作品のボリュームにしてはしっかり遊び心を抑えている。
ストーリーの進め方はプレイヤーに委ねられるので、友人や住民とのやり取りは個々の選択により変化する部分であるが、これは周回の要素にもなり得ると推察もできる。
等身大の感覚を表現した
では、良かった点を挙げようかと思うが、案外にこれが難しい。言葉で表現できない、感覚に刺さった部分を言葉に変換しようとした時、なにか上滑りを起こすような気がしてならない。それを恐れずに表現するなら「等身大の感覚を表現した」ことだろう。本作は海外のゲームなので、ローカライズの妙かもしれない。主人公のメイや友人のビーは各々に問題を抱えており、普段はそれに触れずに、触れられないようにして生活している。それはこの街の住民が多かれ少なかれ持っているように感じる。アンガスだってゆったりしているように見えながらも、きつい過去体験を持っている。
メイが友人たちとやりとりを繰り返していると、時折そうした問題や過去の片鱗が見れる。それは何かを契機に吐露されるのだが、しっかりと共感できる生々しさがある。この時に、キャラクターに寄り添っていたプレイヤーに対して、本作は自身を振り返る時間と余韻を与える。
称賛に値する作品
収穫祭後からゲームのテイストはやや変化し、キャラクターの内面よりも事件解決に重きが置かれる。ここの評価は難しい。クリア後にふり返ってみれば、メイ自身が乗り越えるための障壁の役割にはなっている。ゲームがエンディングを迎えるための装置にもなっている。この事件がなければ延々、メイはポッサム・スプリングで遊んでいるだろう。クリア後は小説を読み終わったような余韻が残る。全体を見れば小さな町の、ちっぽけな関係の、しょうもない悩みにフォーカスをあてたストーリーではある。分かりやすくはないし、壮大とも言い難い。ただ、キャラクターや個々人が抱える悩みは、本人にとっては宇宙のように広大で暗く、掴みどころがない。
狭小な問題に焦点をあて、その心模様を表現し、かわいらしいビジュアルが中和した。しっかりとしたバランスで作り上げた本作は称賛を浴びるにふさわしいと思う。
もし評価をするなら?
9.5良い部分
- 等身大の感覚を表現したストーリー。
- かわいらしいビジュアル表現と雰囲気をつくるBGM。
- 口語表現のローカライズ。
気になった部分
- 世界観にマッチしているが、読みにくいフォント。