「最終兵器彼女(PS2)」プレイ後の感想


最終兵器彼女の公式サイトはこちら(Web Archive)。結婚式ルートの再生リストはこちら(2020年6月7日より更新)。Amazonでレビューを確認する場合はこちら。

青春の1ページに刻まれる作品

最終兵器彼女」は私の青春の1ページに刻まれる作品のひとつだ。「いいひと。」で高橋しん作品に触れて楽しみ「最終兵器彼女」で北海道に憧れすら持った。「きみのカケラ」は自分が高校生になったこともあって、途中で読むのをやめてしまった(休載もあって疎遠になった気もする)。

なので、2019年。「最終兵器彼女」のゲームが存在することを知った時は驚いたし、強く惹かれた。調べると2003年のリリースなので、アニメ版の翌年か。あれからずいぶんと長い時間が経ったものだと感じる。

ifストーリーで登場人物を救済する

ゲーム版「最終兵器彼女」でプレイヤーは、主人公シュウジとなってちせを中心に登場人物と会話を繰り広げる。恋愛アドベンチャーに分類されるが、立ち絵とセリフ、選択肢分岐で進める王道のスタイルで、マルチエンディングが採用されている。

原作は悲劇的なストーリーではあるが、ゲームではプレイヤーの選択次第でその悲劇を回避できる。マンガ・アニメ原作をゲーム化する時に度々採用される「ifストーリー」は、このゲームの大きな魅力だ。

なにせ原作はかわいそうなぐらい、登場人物は「死」や「孤独」に直面する。「ifストーリー」が用意されることで、ゲームの世界だけでも愛すべき登場人物を救えるのはファンにとってもひとつの救済である。プレイヤーの進め方によっては、登場人物をひとりも死なせることもなく、エンディングを迎えられる。

ゲーム版は、アニメ版のキャラデザインが採用されており、アニメシーンも度々盛り込まれている。また、ゲーム版オリジナルのアニメシーンも存在するのは嬉しいポイントだ。シュウジ以外の登場人物はフルボイスだし、ファンならば楽しめる作品であることは間違いがない。

背景描写が壊滅的

しかし良いところばかりではない。2003年リリースのゲームに2020年から指摘をするのは卑怯であることは重々承知だが、粗も目立つ。

私が一番気になったのは「背景」部分。パースがめちゃくちゃな場面が多い。また、冷蔵庫や各家電、窓ガラスの割れ方などなど「想像で描いたのでは?」と思われる箇所が多々あり、その部分が気になってしまうと没入感が削がれてしまった。

よく見ないと分からないが違和感を持つ背景

選択分岐によるマルチエンディングを採用しているが、ゲーム進行中はセーブはできても、ロードができないのは歯がゆかった。選択肢を間違えたかな?と思っても、手っ取り早いリスタートが「本体のリセットボタンを押す」というのは前時代的だ。まぁ、何世代も前の作品であるから、そこはしょうがないのかもしれないw。

また、ゲーム化した為に、無理やりゲーム要素として「ミニゲーム」が用意されているが、うまく機能しているとは言い難い。このゲームを手に取るのは作品のファンが中心であるからミニゲームはもう少し難易度が低いものか、息抜き程度のもので良かったかもしれない。ミニゲームの「大脱出」は意外と難易度高くて苦労したし、分岐要素になってるからウカウカ失敗もできない。20回以上やり直してようやくクリアしたけど、辛かったなぁw。

最後に要望としては、シュウジ以外がフルボイスなので、シュウジにもボイスを入れて欲しかったなぁと。でも、これはプレイヤーがシュウジとしてゲーム内で機能するから当時の流れとして致し方なかった部分。当時は他のゲームでも、主人公にボイスを入れると「没入感が削がれる」という指摘もあった訳だし。

グッドエンディング後に登場する前日譚

とはいえ、私自身の感想としては「背景」だけでもしっかりしていれば、ミニゲームやボイスの有る無しは許容できる部分。ほんと「背景」は残念としてか言いようがないが、Web Archiveでのプロデューサーコメント見ると、一生懸命作った開発者に文句を述べるのは違うかなーという気もしてくる。

前日譚の1シーン

ゲームを作ってくれて「ありがとう」と言いたいし、シナリオ監修に高橋しんがクレジットされてるのを見ると「ifストーリー」や前日譚の収録はかなり貴重で「もし、最終兵器彼女がタイムリープもの」だったら、この子達に幸せな生活を送らせたいと一ファンとして思うのでした。

もし評価するなら?

6.0

良い部分
  • 悲劇的な原作を救済する「ifストーリー」の搭載。
  • ゲームオリジナルのアニメシーン。
  • 高橋しんシナリオ監修による前日譚。
  • 谷戸由李亜さんのオープニングとエンディング楽曲。
気になった部分
  • 背景がめちゃくちゃ。
  • ミニゲームがうまく機能しているとは言い難い。
  • マルチエンディング分岐が分かりづらい上に、ロードが煩雑。
  • 分岐条件にシビアな箇所がある。
  • シュウジのボイスがない。

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